ぼくの時間研究は、キューバにおけるフィールドワークから始まりました。キューバのリズムを体験したことから「時間とは何だろう」という疑問が湧いてきました。その独特なリズムは、時間が歪む感覚を与え、クラーベという拍子木による不等間隔のリズムに満ちています。世界中で同期している普遍的な時計の時間でもなく、個人が感じる過去、現在、未来という主観的な時間でもない第3の時間を「E系列の時間」と名付けました。それは、ヒトや生物が個体同士のコミュニケーションを図るときに生まれる時間のことを言います。会話をしているとき、ペアでダンスをしているとき、一緒に物を持ち上げ運ぶとき、歩幅を揃えて2人が歩くときなど、この「E系列の時間」を使っています。E系列の時間論は、臨床科学や生物の行動学、生態学などにおいて有効な概念であると考えています。
以下はアクセス可能な論文です。
Date | Title |
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2024.5 |
Event Matching and the Biological Production of Spacetime Biosemiotics, Volume 17, 713–731 |
2023.3 |
The Biological Production of Spacetime: A Sketch of the E-series Universe Foundations of Science, Volume 29, 553–570 |
2020.11 |
Toward a Practical Theory of Timing: Upbeat and E-Series Time for Organisms Naoki Nomura, Koichiro Matsuno, Tomoaki Muranaka & Jun Tomita , Biosemiotics, Vol.13, 347–367 |
2019.9 |
「対話・音楽・時間 ―近未来から届く言葉たち」 ( PDF) 『臨床心理学』 オープンダイアローグ―心理職のために 第19巻第5号 518-523 金剛出版 |
2019.10 |
ポスター発表「Timingの行為論 — アップビートとE系列時間からみる生物の運動と行動」 ( PDF) 野村直樹、冨田淳、村中智明、松野孝一郎 日本時間生物学会 第25回学術大会/金沢 |
2019.8 |
How Does Time Flow in Living Systems? Retrocausal Scaffolding and E-series Time Naoki Nomura, Koichiro Matsuno, Tomoaki Muranaka, Jun Tomita. Biosemiotics. Vol.12(2), 267–287.
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2018.9 |
共創の時狭間 -素の時間、二人称の時間、E系列の時間- ( PDF) 特集/東洋の英知と西洋的精神医学の接点『こころと文化』 Vol.17(2), 142-148 |
2018.4 |
Time from Semiosis: E-series Time for Living Systems Naoki Nomura, Tomoaki Muranaka, Jun Tomita, Koichiro Matsuno. Biosemiotics. Vol.11(1), 65-83. |
2016.1 |
Synchronicity as Time: E-Series Time for Living Formations Naoki Nomura、Koichiro Matsuno, Cybernetics &Human Knowing, Vol. 23 (3), 69-77. |
2016.11 |
ポスター発表 (Time As Linguistic Systems: A New Outlook For Chronobiology?) ( PDF) 日本時間生物学会 第23回学術大会/名古屋大学 |
2016.7 |
「父と娘の対話による学び―時間はひとつか」 ( PDF) CEL(Culture,Energy & Life) vol.113 , 36-39 |
2016.1 |
E-series Time as Prolegomena to McTaggart’s A- and B-series Time ( PDF) Naoki Nomura、Koichiro Matsuno 名古屋市立大学大学院人間文化研究科『人間文化研究』25号 |
2015.3 |
E系列の時間とは何か―「同期」と「物語」から考える時間系 ( PDF) 野村直樹、橋元淳一郎、明石真 『時間学研究』第8巻 37-50 |